あゆみかん自作連載小説
主人公・松波勇気が異世界で頑張る長編ファンタジー
シリアスあり、コメディー要素ありとなっていますが
作品中、今後の経過により残酷な描写があるかもしれません。
同意した上で お読みください。
なお、第2話以降からは こちらに本編を掲載せず、
別のサイト「小説家になろう」への小説直リンク先を貼って追加更新していこうと考えていますので、
そちらへお進み頂きお読み下さい。
第4話の一部だけ、こちらに掲載しております。
どうぞ……
・ ・ ・
第4話(旅立ちて)
「おい。どした? 変な笑いして」
と、セナが私の顔を覗きこんだ。私はつい焦ってしまって、ますます変な顔に……。
「えっ? いやぁ、別に。ねぇ……」
セナは、眉を ひそめた。“何だこいつ……”とでも、思っているんだろう。
仕切り直して。セナは、
「目(ま)の泉って、結構遠いよな。地図だと近そうだけど……。砂漠のド真ん中だろぉ? 水、多く持って行かなきゃなぁ」
と、ブツブツ言いながらメモしている。
メモには、水、食料、服、油、薬……と書かれている。
「油? あー、灯りって事ね。え、じゃあ、この服ってのは?」
「お前の服だよ。それと俺の服も。いつまでも2人とも、この服を着っぱなしっていうのはなぁ。この、俺の服はまだいいけど。お前、女のくせに男もののトレーナーに そんなスパッツ履いて。夜は冷えるし、もっとマシなの買ってやるよ」
それを聞いて じーん……輝く瞳 攻撃で、セナを見た。セナは、気がついていないけど。
……そうよね、いつも この服じゃ……っていうか。寒いもんね、この格好。パジャマよりはあったかいと思って我慢してたけど。
セナって、ほーんと、いい奴だなぁ……。
しみじみとしてしまう。
ちなみに、ココはマフィアの店の居間。朝に起きて食事をした後、この村で最低限必要なものを揃えてから目の泉とやらへ向かおう、という事で。今セナがその買うものをメモっているのだ。
お金を出すのはセナである。だって私は一文無し。
大丈夫、いつか働いて返すわ……と、内心、思ってはいるんだけど、ねえ。その“いつか”は、あまりアテにはならない。
「よしっと。こんなもんか。じゃ、行ってくる。お前、ココで待ってろよ」
と、セナがメモを持って立ち上がった。
「えっ、何で!? 私も行く!」
と私が立ち上がると、セナは声を張り上げて言った。
「ダ・メ・だ!」
「なんでよぉー!?」
「余計なもん買いそうだからだ。言っとくけど、俺だって金ないの! そうそうアテにされちゃ困る」
と言い残して、プイと行ってしまった。
彼の言う事も、もっともかもしれないけどさ……。私、そんなに物を欲しがったりしないもん。昔っから欲しい おもちゃがあっても買ってってねだったりしなかった。
何よ何よ……私だって、好きで一文無しでいるわけじゃないわ。
と、ヤケクソな事を考えながら、縁側の廊下へ出て、庭を前にして座った。今日はいい天気で、ポカポカしていた。
目を閉じると、色んな事を思い出した。
お兄ちゃん……お父さんとお母さんが死んで、一人で働いている お兄ちゃん。私の事はそっちのけになってしまった。私だって、力になりたかったのに。邪魔だって言って、手伝わしてくんなかった。私が、普通の中学生でいられるように。普通の女の子でいられるように……。
きっと、お兄ちゃんはそう思っているんだ。
何でそうやっていつも自分だけで全部を しょいこむの……。
私は、あの日の事も思い出した。こっちの世界に来る前に、お兄ちゃんとその彼女らしき人と、口論になっていた事……。「私と妹と、どっちが大事なのよ」と……確か、そう言ってた。お兄ちゃんは、何も答えられずにいた。
…………あれ?
変……その後の事が、思い返せない。何か、すごく印象に残るような事、言っていたと思うんだけど……。だめ……思い出せない……ま、いっか。
ついウトウトとしていると、トタトタと廊下の向こうから誰かが駆けて来た。
ミキータだった。
「お姉ちゃん。ヒマなら、遊ぼうよ」
……
「……ただいま。おい、勇気」
「ん……? あれ、セナ。おかえり」
目を こすって起きた。どうやら縁側で寝こけちゃったようだ。
「こんなとこで。風邪ひくぞ」
「あは。ごめんごめん。ミキータとママゴトとか色んな遊びしてたら、眠くなっちゃってさぁ……」
「まぁいい。ほら」
と、セナが私に一抱えほどのブ厚い大きい袋を渡す。何だろうと中を見た。そして、私は目を疑った。袋を落とす……ボトッ。
「何だ? 気に 入らなかったのか? 服屋で、勇気に一番似合ってると思うやつ買ったんだ」
と、セナは言うものの。私が驚いているのは気に入るか入らないかという問題じゃない。その服が問題だった。
「これ……私の学校の制服……」
そう。袋から取り出した その服とは。まさしく我が港中学校の赤いセーラー服だった……。
・ ・ ・
☆続きが気になる! 方や 第4話全文を読みたい方 は、こちらへ……
http://ncode.syosetu.com/n9922c/4.html
(「小説家になろう」サイト小説直通先)
☆携帯版は→コチラから
☆次回、第5話……
ついにレイが ちゃんと(!)登場。さらに新たな敵が現れて……?
ってな感じで。
ありがとうございました。